東京地方裁判所 昭和42年(借チ)29号 決定
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〔決定理由〕一、申立人は、相手方所有にかかる新宿区市谷河田町六番の二宅地1,393.52平方米のうち南西隅の50.15平方米(15.17坪)(本件土地という)を借地し、その地上に(登記簿上)木造木羽葺平家建店舗六坪(現況)木造鉄板葺二階建39.6694平方米(一二坪)の建物を所有し、飲食店を経営しているが、営業上の必要から軽量鉄骨木造モルタル塗瓦葺三階建各階共35.076平方米(10.62坪)に改築する計画(本件改築という)をたて、相手方の承認を求めたところ、相手方から拒絶されたものである。<中略>
二3 相手方は本件借地契約の期間が満了したときは、更新を拒絶し、本件土地上に附属病院に勤務する看護婦のため鉄筋コンクリート三階建の寮を建設する予定であるから、本件改築を承認できないとしている。相手方が本件土地を含む附近一帯の土地を買受けたのは、将来における自己使用を見込んだものであり、看護婦のための寮を可及的速かに整備することが、相手方にとつて望ましいことは、これを認めることができるのであるが、さりとて本件土地だけを周囲と切り離して寮建築の敷地とすることを理由として、更新の拒絶を認めることができるかどうかは疑問であるといわなければならない。すなわち、一面において僅か五〇平方米余の狭い本件土地だけを敷地とする建築が土地利用上合理的といえないばかりでなく、本件土地の東隣りの四一平方米余(12.5坪)の土地について、相手方は借地人五十嵐ウタとの間で昭和四二年九月借地契約の更新を承認し、改築を認めているのであつて、本件土地についてだけ特に先だつて更新を拒絶するに足りる正当の事由があるとするのは公平の上からも相当とはいいがたい。
4 従つて、本件土地について借地期間満了の際(満了の時が、前認定のとおり昭和五六年であるか、相手方主張のとおり昭和四六年とみるかに関係なく)当然に終了することを前提として、改築許可を不当とする相手方の主張は、採用できない。
以上の理由により、本件改築は許可すべきものとする。
三 そこで、附随の処分について検討をする。
1 先づ、本件借地契約の存続期間については争いのあるところであり、将来の紛争を防止する意味で、本裁判において期間を定めておくことを適当とする。そこで、前記本件土地の隣地について、成立した更新の合意によれば、存続期間は昭和六二年三月三一日までとなつている。そこで、相手方の所有地利用の便宜及び公平の見地から、本件土地についてもその存続期間を右期間と合せておくことが合理的であると考える。よつて、存続期間を右のように定めることとする。
2 次に、申立人に金銭給付をさせることの要否及びその額を考える。鑑定委員会は、前記期間の延長はないものとして、本件改築による効用増に伴なう申立人の利益の一部を相手方に支払うのが相当であるとして、本件土地の底地価格(更地価格を3.3平方米あたり三〇万円、借地権割合を八〇%とする)に効用増加率三三%(効用比率を一階一、二階〇、八、三階〇、六とする)を乗じた額の半額にあたる金一五万一八〇円の給付を命ずべきものとしている。
当裁判所は、右鑑定委員会の意見を参考とし、かつ、存続期間を延長したこと及び前記五十嵐ウタが更新及び改築の承認を得た際相手方に金二五万円を支払つている事実を斟酌した上で、公平の見地から申立人に対して金三〇万円の支払いをさせるのを相当と認める。
3 賃料については、鑑定委員会の意見を採用し、月額三、三平方米あたり金一三〇円と定めることとする。(西村宏一)